仮置場における浸水と漏洩の防止

 仮置場における水に関するトラブルの対策としては,雨水等の浸入を防止するために仮置場の上部を遮水シートで覆いました。また,除去土壌の流出及びそれに伴う放射性セシウムの移動を防ぐ目的のために,仮置場の底面に遮水シート敷設しました。

 仮置場の床面には,除去物が破損しないようにするとともに,放射性セシウムの深部への移行を吸着によって抑制するために,除去物と遮水シートの間に保護マット及び保護土を設けました。遮水シートや保護マットは,日本遮水工協会における自主基準に合格しているものを採用しています。また,重機を使用する場合は遮水シートを破損しないよう適宜鉄板を敷く等の養生をすることとしました。

 さらに,除去物から浸出してくる水を回収するため,有孔管を用いた集水管及び集水桝を設置することとしました。集排水管の配置計画の例を図1に示します。

集排水管の配置計画の例
図1 集排水管の配置計画の例

 また,施設からの放射性物質の流出を監視するため,施設周辺に設置する井戸を用いて地下水のモニタリングを適切な頻度で(月に一度程度)実施し,その結果を記録することとしました。

 そのため,仮置場設置に際し,観測井戸を掘削しました。観測井戸は,仮置場周辺の地形や河川位置等から地下水の流動方向を推察し,上流側と下流側に設置することを基本としました。観測井戸は,自由地下水面が出現する深度まで掘削しました。ただし,地下水位が数10m以深の基盤岩内に分布しているような場合は,中間貯蔵施設への搬出までの3年程度の期間では放射性物質の流出による地下水の汚染が生じることは考えにくいことから,自由地下水面の出現前に掘削を中止しました。なお,観測井戸掘削前には,周辺の地形や河川位置,土地利用状況,植生等から地下水位の概略位置を推定しました。観測井戸は,孔壁の崩壊等を防止するために,スクリーンを設けた塩化ビニール管によって仕上げました。

 仮置場において測定した地下水等に含まれる放射性セシウムの濃度は,仮置場に除去物を搬入する前の状態での空間線量率や放射能濃度の変動幅と比較することとしました。

 また,必要に応じて,除去物からの浸出水を回収するために設置した集水管及び集水桝を用いて施設底部からの浸出水のモニタリングを行うこととしました。また,仮置場/現場保管場の遮水機能が低下することによって,集水桝の水位に変化が生じる可能性があることから,水位も測定することとしました。

 浸出水の放射能濃度が基準値を超える場合は,集水桝内の水処理(除染)を行うとともに,原因を明らかにしたうえで必要な対策を講じる必要があることから,浸出水のモニタリングの考え方を整理しました(図2)。

仮置場における浸水と漏洩の防止(飯舘村)
浸出水のモニタリングの考え方
図2 浸出水のモニタリングの考え方