福島県においては森林に隣接する家屋が多いことから,このような家屋に住む方々の被ばく線量の低減を目的とした森林除染は重要な課題の一つです。森林除染を効率的に進めるには,除染方法の効果,除染対象とすべき森林の奥行深さなどを,データに基づいて明らかにすることが必要と考えられます。この観点から,ガイドライン調査事業における森林の除染関連試験(南相馬市ハートランドはらまちで実施)では,まず森林入口から10 mまでの奥行を有する除染対象区域(区画1)において,針葉樹エリアと広葉樹エリアのそれぞれについて,除草・落ち葉かき,腐植土層除去及び地表から4 m高さまでの枝打ち作業を順に実施しました。さらに,この手順を森林入口から奥行30 mまで10 m毎(区画2及び区画3)に実施しました。なお,枝打ちは,森林内部では既になされていたことから,森林入口のみで実施しました。
表に示すとおり,腐植土層の除去が森林入口の空間線量率の低減に最も有効でした。また,区画1の除染を行うことにより,森林入口の空間線量率はほぼ半分に下がりましたが,引き続き実施した区画2及び区画3の除染に伴う更なる低減は見られませんでした。
この結果に基づくと,森林に隣接する家屋に住む方々の被ばく線量低減を目的として森林除染を行う場合,隣接する森林入口から奥行10 mまでの区画を対象として,腐植土層の除去を行うことが最も効率的だと考えられます。
*1 区画1除草・落葉掻きの線量率は,地表面1cmで測定。
*2 広葉樹は全て落葉しており枝打ちは実施していない。
*2 広葉樹は全て落葉しており枝打ちは実施していない。
*3 針葉樹は,区画1の入口付近のみ枝打ちしており,区画2,3の針葉樹には枝がなかったため,枝打ちしていない。
*4 表面は1cm高さ,空間は1m高さの線量率の測定結果。