国際ガイダンス,法令および規制

国際機関およびそれらの役割

 放射性核種の環境中の挙動や放射線が人の健康および環境に与える悪影響についての文献は数多くあります。こういった情報は,「原子放射線の影響に関する国連科学委員会 」(UNSCEAR) によって定常的に評価されています。これらの評価およびその他のさまざまな情報源に基づき,「国際放射線防護委員会」(ICRP)は,作業従事者,医療および一般公衆が受ける被ばくに対して適用できる放射線防護に関する勧告を作成します。ICRPは国際放射線医学会議(ICR)の専門委員会で,その下の専門委員会に国際放射単位測定委員会 (ICRU) があり,そこでは,国際的に受け入れられるような,放射線に関連した量および単位,用語,計測手順,および医学的診断とセラピー,放射線科学と技術における放射線の安全で効率的な適用,および個人と集団に対する放射線防護に関する参考データの整備とそれらの公布を行います。

 並行して,国際原子力機関 (IAEA)は,(他の様々な任務があるが)放射線防護のための基本安全基準 (BSS) の策定や,防護の具体的分野に関係した数多くの報告書の作成を行っています。経済協力開発機構(OECD)傘下の経済協力開発機構原子力機関 (NEA)は,日本も加盟国であり,その任務は,国際協力を通して,加盟国が平和利用のための原子力エネルギーを,安全で経済的かつ環境に調和したものとして利用するために必要な科学的,技術的かつ法的根拠を維持し,発展させていくことを支援することです。

 その他,数多くの地域や各国の組織も,多岐にわたる法律,技術上の問題について,放射線防護基準や指針の作成に重要な役割を果たしています。これに該当する組織として,欧州連合(EU),国際放射線防護学会(IRPA),国際電気標準会議(IEC),国際放射生態学連合(IUR)および米国放射線防護測定審議会(NCRP)があります。