原子力発電所およびその他産業の放射線源

産業から環境への放射性核種の放出

 放射性核種の放出は,運転中の原子力発電所のみならず,核燃料サイクルのすべての段階から起こります。これらの段階には,ウラン採鉱および製錬,濃縮および核燃料加工,原子炉の運転および解体,再処理,放射性廃棄物の処分などがあります。さらに,放射性核種の放出は放射性物質の輸送の際にも起こる場合があります。一般公衆への外部被ばくも放射性物質の輸送時や例外的に原子力施設からの直接の照射により起こる可能性があります。

 また,自然に存在する多くの物質はほんのわずかな放射能しか持っておらず,製造処理に用いる物質の放射性核種特性については,初めから気を払わなくてもよいですが,さまざまな産業からの最終製品,副産物および廃棄物の中には,放射性核種濃度が高められている場合があります。このような「技術的に濃度が高められた自然発生の放射性物質」(TENORMs)には,それらの生産や取り扱いを行う産業に携わる作業員,および一般公衆 に重大な被ばくを生じさせる可能性があります。

産業での放射性物質利用による一人あたりの年間実効線量 (mSv) 1)

参考文献
1) United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation, UNSCEAR 2008 Report to the General Assembly, with scientific annexes: Scientific Annex B