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廃炉に関する技術開発等Technological development related to decommissioning

(2019年 更新)

事故後の原子炉圧力容器・格納容器の内部はどうなっていますか。

原子力機構は、事故時に福島第一原子力発電所プラントから得た貴重な測定データを詳細に分析して得られた知見、模擬燃料集合体での破損試験の結果、シビアアクシデント解析コードの予測および最新の内部調査から得られた結果と照らし合わせることで、各号機の事故進展挙動を分析・評価し、事故後の炉内状況を推定しました。

図1 福島第一原子力発電所2号機の炉内状況推定図
視覚的に分かりやすい燃料デブリ分布の推定図を作成。

福島第一原子力発電所の廃止措置において、原子炉内の燃料デブリや核分裂生成物等の状況を推定・把握することが必要です。しかし、事故後の原子炉は高線量下にあって内部を直接観察することは困難であり、原子炉容器(RPV)や格納容器(PCV)内の状況を把握することは容易ではありません。また、福島第一原子力発電所の1~3号機は、津波により冷却機能を喪失しただけではなく、直流電源の喪失により計測器の測定値の取得が困難となったため、事故進展そのものに関する情報が不足していることも状況の把握を難しくしています。

このような事故時の情報の不足を補う上では、スリーマイル島(TMI)原子力発電所事故の経験やこれを踏まえた試験などの知見を活かしたシビアアクシデント(SA)解析コードの適用が有効です。ただし、福島第一原子力発電所は沸騰水型軽水炉(BWR)であり、TMIの加圧水型軽水炉(PWR)と比べて、燃料集合体や下部プレナムの構造や配置が複雑であること等により、不確かさが大きいことが知られています。

そこで、「総合的な炉内状況把握の高度化」プロジェクトにおいて、BWRの炉心構造を模擬した燃料集合体(実機燃料ペレットの二酸化ウラン(UO2)をジルコニア(ZrO2)で模擬)を高温のプラズマにより加熱し、福島第一原子力発電所事故時における炉心物質の崩壊・溶融・移行挙動を握するための試験を行いました(図2)。

図2 模擬燃料集合体破損試験
二酸化ウランの代わりにジルコニアのペレットを用いた模擬燃料集合体の上部をプラズマにより加熱。
(a)融点が低い順に下方向に物質が流れる挙動が観察された。
(b)溶融温度近くまで模擬燃料が柱状の形状を保つことが確認された。

この試験では、これまでの BWR体系を模擬した試験の多くで達成できなかった酸化物溶融温度以上の加熱を実現し、福島第一原子力発電所 事故時における炉心物質移行初期の軸方向温度勾配を再現しました。
試験結果より、高温化した炉心燃料は部分的な閉塞を形成するものの、溶融温度近くまで柱状の形状を保つこと、試験対象領域全体をみると蒸気などガスの透過性を有することが明らかとなりました。この燃料崩壊やガス透過性はSA解析コードの大きな不確かさ要因となっていましたが、今回の試験からの知見で大きく改善されました。

また、事故時に福島第一原子力発電所プラントから得た貴重な測定データを詳細に分析し、そこから得られた知見を、このプラズマ加熱試験の結果、SA解析コードの予測及び最新の内部調査から得られたそれぞれの結果と照らし合わせることで、各号機の事故進展挙動を分析・評価し、事故後の炉内状況を推定しました(図1)。

現在は福島第一原子力発電所内部調査による最新情報を反映しつつ、炉内状況推定図の各号機・領域の高度化に資する研究を実施しています。こうした取組みを通じて福島第一原子力発電所の事故後の状態把握を進め、燃料デブリ取出しに役立てていきたいと考えています。