環境回復に向けた取り組みENVIRONMENTAL

国際セシウムワークショップ

国際セシウムワークショップ

日時
平成25年9月30日(月)~10月3日(木)
場所
コラッセ福島(9/30~10/2)
川内村・荻ダム、貝の坂の仮置場(10/3:Cs動態研究調査現場および除染廃棄物仮置場の見学)
参加者
イギリス5名、米国3名、スイス4名、フランス1名、ロシア1名 他日本人含めて約80名
目的
東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故によって汚染した環境を回復するためには、放射性セシウムが長期間とどまると見られる環境の除染や被ばく低減対策及び除染に伴い発生した廃棄物の減容等の多くの課題を解決しなければならない。本ワークショップでは、各国の専門家が一堂に会し、福島の現状や諸外国の過去の経験等を踏まえた課題解決策について議論した。
ワークショップの様子
現場見学の様子

ワークショップの成果概要(発表および議論に基づいて)

【海外事例の活用】

諸外国の参考とすべき原子力事故などはかなりあり(チェルノブイリ原発事故(露)、ウィンズケール原発事故(英)、高レベル放射性廃液のテチャ川への廃棄(露)など)、多くの経験が参考になることが認識された。ウィンズケール事故がセシウムによる汚染という意味では福島に類似している。イギリスでは、他の事例も参考にして環境回復対策への知見を整理した(例えば、セシウムの汚染に関する淡水系と海水系での対処の違い)。今後、海外の事例を参考にしつつ、地形や土地利用の違いなどは福島独自の要素を考慮していくことが大事。

【コミュニケーション】

福島の環境回復を前進させるには、専門家のみでなく、マスコミ、政治、教育、社会科学などの職業人の複合的な関与が不可欠。例えば、マスコミ、とくに地域住民に直結するローカル局のマスコミに今回のワークショップの成果をどう伝えるかは重要なことである。また、マスコミへの発信については、ある程度著名なアナウンサーの活用が必要(イギリスではBBCの実例有り)。

【森林の取扱い】

森林問題は、林縁部20m除染の妥当性の議論にかなりの時間が割かれた。海外でも森林汚染はあるが、除染の実績はない。除染しないことも含め、技術的な問題と感情的な問題が錯綜するので、早い段階から住民参加型の取組が必要である。特に、隠すことなく住民と対話することが生命線。居住者・林業従事者・きのこなどの摂取者に着目した被ばく低減に向けて、除染と立ち入り制限など複合的な組み合わせが必要である。森林除染は、ガイドラインでリター除去や枝打ちが推奨されているが、現在は土壌にセシウムが移行し始めており、枝打ちは効果的な除染方法ではなくなっている。ガイドラインは、樹木内のセシウムの循環の評価を含むセシウムの動態に基づいて効果的な除染方法を推奨するよう検討されるべき。ワークショップでは循環評価モデルの試用例も提示された。また、森林からのセシウム放出量は簡易計算では0.3~0.5%/年であり、今後除染拡大するにしても、林床の荒れ地化に伴う土砂流出の増加などを考慮し、慎重な除染が必要。森林整備作業と除染作業を組合わせるなどして森林産業の復活に資する対策にもっと目を向けるべきである。河川除染なども、その効果を考慮しつつ早い段階からの住民参加型の取組が必要。

【除染廃棄物の減容】

除染廃棄物の減容問題は、焼却に加え、水を用いた物理的な微粒子除去が現実的である。化学的なセシウム除去、減容は時期尚早である。今後の減容に関する研究は、仮置→中間貯蔵→処分といった工程を意識したタイムリーな反映が不可欠である。物理的な減容については、米国、スイスから現実的な提案をするとの意見が出た。

【セシウムの環境動態評価】

セシウムの環境動態は、様々なモデルによる評価の不確実性の幅が重要であり、多くのモデルの検証・確証が重要である。ワークショップでは、ボックス・モデルが推奨された(米・英で実績あり)。セシウムの環境動態の成果の反映先を意識した研究が重要である。特に、農業や林業の再生、森林、河川、ダム・ため池の除染などである。反映先である被ばく低減化に向けての優先順位は、外部被ばく、次に内部被ばくである。

【セシウムの存在形態と移行】

セシウムの環境中の移行は、粘土鉱物と天然有機物との相互作用の競合である(露のマヤックおよびフランスのチェルノブイリ・サイトにおける調査の例)。福島での環境中のセシウムの移行は、検出下限1Bq/L以上では微粒子との随伴挙動が支配的である。一方、水田での稲へのセシウムの移行は、1Bq/L以下の溶存態のセシウムが寄与している可能性があり、セシウムの存在形態等の検討が必要。

【情報の集約・発信】

福島第一原子力発電所事故の環境回復や環境動態の研究成果などは、今後膨大な情報量になると予想され、関係者がタイムリーに活用するためには、データハンドリングシステム(英、地質調査所)やCoolRep(JAEA)といったシステム開発の経験を生かすべきである。このような活動は福島はもとより、今後の事故対応措置策定のための貴重な知見として国際的なニーズに答える上でも重要である。

上記、国際ワークショップで得られた方向性や知見は、福島の今後の環境回復に関わる政策への提言や研究開発計画などに生かしてゆきたい。今後も進捗状況などについて情報交換するなど、世界の専門家が一堂に会したワークショップ開催を検討して参りたい。

発表資料(英語)/Presentation document

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